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Seminer

徹底した食事と栄養管理で後腹膜がんの進行を抑える

Doctor's Column2023.5

炭水化物や甘いものが好きだった飯塚信夫さんにとって、糖質や塩分を徹底的に排除した食事制限は想像以上に過酷なものでした。しかし、余命宣告までされた夫の身を案じる妻、京子さんの献身ぶりもまた、見事なほどに徹底していました。
後腹膜がんとわかって仕事を休職した夫の食事を3食それぞれ見直し、野菜とタンパク質中心のメニューに切り替え、提供していきます。幸い信夫さんは野菜好きだったことから、酢キャベツを毎食食べさせたのをはじめ、味のない野菜スープ、鶏肉、魚などを野菜と一緒にオイル焼きにするなど、「糖質や塩分を一切使わないレシピ」が日課になったほどです。

食材にもこだわり、有機栽培のりんご酢を試したり、700円はする高級な卵を使ったキッシュやココナッツオイルでパンもどきをつくったり。とにかく「味をつけなくてもおいしく食べられる工夫をした」といいます。

もちろん、栄養補給も怠りませんでした。ボタラボグリーン、ボタラボキャロットを1日300~600CC、ビーツ、ミネラルを毎日補給しつづけます。加えて、ココナッツオイルを1日200CC体に入れ、不足しがちなビタミンB17、ビタミンE、DHAをサプリメントで補充する日々でした。

一方で「ボタニック温熱」にも通います。体をあたためる温熱とホルミシス療法は、信夫さんにはとても心地よく、細胞活性にもプラスに働いたのかもしれません。

こうして2ヶ月が過ぎた頃、CA125などの腫瘍マーカーを調べたところ、驚くことに3ヶ月でCA125の数値が当初の半分以下に下がっていたのです。更に6ヶ月後には、その数字をさらに下回って直径8~9cmの巨大な腫瘍が5~6cmと著しく縮小していたそうです。

一時期、病院のご飯が食べられなくなったり、病気から4ヶ月後に転んで肋骨を骨折したり、信夫さんはがんを発症してからもさまざまな試練に見舞われます。

それでも「がんになっても生活は変えない」という信念のもと、家族の支えを受けながら、食べる喜びや楽しく生きる生活を心がけたことが、結果的に体の元気を保つ力になったのだと感じます。

がんを発症してから2年。信夫さんは、今も元気に過ごしています。がんはまだあり気は抜けませんが、仕事にも復帰し、ケトン体質を保ちながら糖質がなくても美味しく食べられる食事を夫婦で工夫しているそうです。(完)

私の栄養スイッチ 2023年5月号PDF