LINEアイコン
Youtubeアイコン
facebookアイコン
instagramアイコン
Seminer

家族の献身的な支えと栄養でがんを押しのける。

Doctor's Column2020.6

「がん」は、日本人の二人に一人がかかるほどごく身近な疾患になってきています。でも、いざがんと宣告された瞬間、がん患者の精神状態は極度に追い込まれる場合が少なくありません。それまで健康で、あまり病気と縁がなかった人ほどその傾向が強いようです。きょうは、そんながん患者さんのお話をご紹介したいと思います。

陽性反応の9割以上は「良性腫瘍」

60代の女性・J子さんは、60代になるまで大きな病気をしたことがなく、入院経験は小学校の時の盲腸の手術と、出産前にあった程度で、健康状態はいたって良好だと思っていました。体形的には細身で、どちらといえば食生活も質素。糖質は極力摂取せず、お酒も普段はめったに飲みません。ただ本人曰く「先天的に、ややインシュリンの出が悪い」らしく、それが関係しているのかどうか毎年の健康診断では、糖尿病の「境界型」と診断されていました。
2019年夏、かかりつけ医から「大腸がん検診」をすすめられ、検査の結果「陽性」だったことから、改めてその病院で精密検査を受けました。J子さんは、その時からなんとなく胸騒ぎを覚えていましたが、医師から「大丈夫。検査結果は約95%が良性腫瘍ですから、そう心配はいらんでしょう」と告げられ、安心していました。
ところが、結果は「悪性腫瘍」で、ステージ2。J子さんは近くのM病院を紹介され、入院して手術を受けることになったのです。

がん告知でウツ状態に陥る

がん患者となったJ子さんは、ショックでその日から人が変わったように落ち込んでしまいます。医師から「大丈夫ですよ。手術して治療すれば必ずよくなります」といわれても、「もう歳だし、長生きできないのかもしれないわ」と口にするようになります。がんの一番の難敵は、実はこうした精神面や感情面の落ち込み、ウツ症状だといわれています。まさにその状態に陥ってしまったのです。
M病院の手術前検査で、大腸がん以外にも「副腎腫瘍」や「肺に陰がある」と指摘されたことも、ショックに追い討ちをかけました。そんな中J子さんの夫は、以前から医療と栄養に関心を持っており、「がんとわかった以上、栄養的に何かできる手立てはないか」と考えていました。
ボタラボのセミナーで学んだところ「ビタミンBとEPAが特に不足しているんだと思う。それに加えて抗酸化作用のあるキャベツ、ブロッコリーなどアブラナ科の野菜、レモンなども積極的に摂った方がいい。とにかくがん体質になっているので、栄養で極力、体質を変えてみよう」

J子さんの夫は、すぐに取り入れ、さっそく次の日から「特製ジュース」を作って飲ませます。そのジュースは「りんご、バナナ、人参、セロリ、小松菜、レモン」をミキサーにかけて作ったスムージーで、がんの食事療法で有名な済陽先生の本を読んで取り入れたものでした。
更にこのスムージーに、ボタラボグリーンとボタラボキャロット、ボタラボミネラル77を加えることにしました。手術が行われるまでの約20日間、1日も休むことなくJ子さんにそのスムージーと、ビタミンB、EPAが含まれた食材を徹底的に食べさせたのです。

栄養と家族のサポートが「良薬」

J子さんの手術は、11月上旬に無事終了。経過は良好で、入院から20日ほどで退院、無事に家に戻りました。しかしうつ状態、不眠などの症状は続いていました。ところが、退院から一週間後にM病院の担当医から、病理検査の結果を聞かされ、驚きます。
「ステージは1でした。リンパ節転移もありません。よかったですね!」
なんと、ステージ2ないし3と診断した先生が、病理診断でステージ1だったと告げたのです。J子さんと家族からすれば「これ以上ない朗報」です。通常はPET診断の結果と同じか、悪くなることはあっても「良くなる」ケースは多くありません。
おそらく、がんを告知された後、入院から手術までの約20日間で、夫の特製ジュースと栄養療法を徹底して取り入れたことが奏功したのでしょう。この間、J子さんは薬や病院の治療は一切、受けていません。栄養を見直し、食生活を変え、ウォーキングや日光浴を普段より多めにとった以外、医療的なことは何もしていなかったのです。
栄養療法と家族の献身的な支え。みなさんも、栄養や食生活をしっかり見直して健康づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

私の栄養スイッチ 2020年6月号PDF