LINEアイコン
Youtubeアイコン
facebookアイコン
instagramアイコン
Seminer

妊娠中に子宮頸がんの“前がん病変”。果たして出産は?

Doctor's Column2022.8

神奈川県にお住まいの30代女性・Nさんは、妊娠したことがわかってから、ご主人ともどもお腹の赤ちゃんに「無事、元気に生まれてきてね」と語りかけながら日々を過ごしていました。

結婚前から2年に一回は子宮頸がんの健診を受けるなど、比較的健康にも気を配っていたNさんですが、2021年3月にかかりつけのクリニックで子宮がん健診を受けたところ、医師から「子宮頸部に異形成がある」ことを知らされます。

頸部異形成とは、子宮頸がんの前段階に見られる病変といわれています。軽度、中度、高度とそれぞれ段階があり、高度異形成から子宮頸がんに発展するケースが多いとされています。知人の産婦人科医に尋ねたところ、妊娠中の女性で頸部異形成がみられるケースは少なからずあるようですが、一般的には「子宮頸部の異形成はがんではないので、すぐに治療を行うことは少なく、軽度であれば9割以上が自然治癒する」といわれています。

ただ、どうなっていくかは経過観察が必要で、Nさんは月に一度、検査を受けながら経過を見守っていました。しかし、妊娠6ヶ月を過ぎた7月に受けた検査で「高度異形成」であることが判明しました。3月時点より進行し、子宮頸がんの一歩手前の状態にあることがわかったのです。

Nさんは「ショックで頭の中が真っ白」になってしまいます。主治医からは「本来であればすぐに円錐切除となりますが、妊娠しているため産後まで経過をみて手術するか判断することになるだろう」と言われ、Nさんの不安は募るばかり。仮に、円錐切除になれば次の妊娠への影響が懸念され、早産や前期破水のリスクも高まります。Nさんはまだ若く、子どもは2人希望していたので、できることなら切除はせず、次回の検診までになんとか少しでも状態を良くしたい。その一心でした。

幸いにも赤ちゃんは順調に育っており「出産に支障はないでしょう」といわれたことが、唯一救いではありました。

治療の必要はなくても、病変の進行だけはなんとしても食い止めたい。Nさんは母親や夫に相談し、何か良い方法がないか手を尽くします。そんなとき、毎週参加していた「アラフォー妊活 Labo」で橋谷圭伊子さんが、がんの改善事例の話をしていたのを思い出します。そのコミュニティーでは健康指導師の橋谷圭伊子さんが自ら体験した高齢出産と、栄養やメンタル面を含めた実践指導をもとに、妊活女性の体づくりをサポートするプログラムを展開していました。Nさんは、わらにもすがる思いで橋谷さんに相談し、徹底した栄養指導で状態の改善を目指そうと考えます。

結論から言うと、橋谷さんの指導を受けてから3ヶ月後、Nさんは元気な赤ちゃんを無事に出産し、高度異形成も「軽度」にまで戻すことに成功します。その内容については、次回詳しく解説しましょう。(つづく)

私の栄養スイッチ 2022年8月号PDF